14日、2018年度税制改正大綱が決定しましたね。
以前から話題にはなっていましたが、これで年収850万円を超える会社員・公務員は増税が確定!(一部例外を除く)
とはいえ、巷では「増税のポイントがイマイチわからん!」との声も。
そこで増税のカラクリや政府の思惑、実際に増税された際の手取り額への影響、そもそも増税はいつから?具体的に所得税はいくら?なーんて情報を集めてみました。
年収850万円超で増税となるカラクリ
「年収850万円以上で増税なら、オイラにゃ関係ねーな」と思っている方も多いであろう、今回の増税案。
確かに、増税の対象となる層は給与所得者の約4%と言われており、その数は約230万人。
残り96%の給与所得者は“セーフ”に見えますモンね。
ちなみに給与所得者とは、会社員や公務員など、特定の雇用契約による対価の収入を得る人たちですね。
なので、フリーランスで仕事を受けている人、プロスポーツ選手、外交員、集金人、ホステスをはじめ、自営業と見なされる部類の人は事実上増税対象から外れていることになります。
では、なぜこの増税が給与所得者を対象としているのか?
それは、この2018年度税制改正が『給与所得控除』と『基礎控除』の2つにメスを入れることになったからなのです。
給与所得控除 | 基礎控除 | ||||
会社員や公務員など、特定の雇用契約による対価の収入を得る「給与所得者」を対象とする控除。 | すべての納税者を対象とした控除。 |
今回の決定で、給与所得者のみに関係している『給与所得控除』が一律10万円減額されることになったのだから、さあ大変!
それにより、どんな違いが発生するかと申しますと・・・
と、その前に給与所得と所得税の大原則をお話しておかねばなりません(汗)。
給与所得とは、【収入(額面金額)】-【給与所得控除】で計算されます。
そして【算出された給与所得】-【他の各種控除】=課税所得となり、それに所定の税率を掛けて所得税が決定します。
なので、給与所得控除の金額が大きければ大きいほど、給与所得の数字が少なくなります。
給与所得の数字が少なければ課税所得も小さくなり、よって所得税は減税状態になる、と。
だったら、給与所得控除の金額は大きいほうがイイに決まってますよね~
しかし!その大きいほうがイイはずの給与所得控除額が、なんと10万円も減らされる・・・(汗)
更に、年収850万円を超える人に対しての控除は195万円という上限が設けられることになってしまいました。
ざっくり言いますと、この改正によって給与所得の数字増→課税所得の数字増となり、ひいては所得税が増えてしまうというカラクリなんです。
現行税制は年収1000万円超で上限220万円であるため、この改正でボーダーを引き下げて控除を増額した格好。
いっぽう、全納税者が対象の『基礎控除』は一律10万円増額。
現在の基礎控除は一律38万円なので、改正後には48万円控除してもらえるということ。
給与所得控除で減らされた10万円が、この基礎控除で相殺されるのです。
この時点で、850万円以下の給与所得者はいってこいのプラスマイナスゼロとなって税負担は変わらず。
逆に、給与所得控除190万円の上限を設けられてしまった年収850万円超の層は、相殺どころか恩恵が削られるため、増税を免れないんですよね。
ただし、23歳未満の子どもがいる人や介護が必要な家族がいる会社員については、増税の対象外となります。
年収850万円超で増税の理由!
ここで、ひとつ疑問が生まれます。
それは「なんで政府は給与所得控除をターゲットにしたの?」という件。
考えられる理由としては、“所得捕捉率の高い層からキッチリと税金を取りたかった”ってのが本音ではないか、と。
つまり、サラリーマンや公務員というのは、会社や組織に所属しているため、所得の詳細が明らかになっている層なんですよね。
それに対し、フリーランスなど自営業方面の方々は、確定申告の内容に頼るしかないので、所得の詳細に不明瞭な部分がある層。
ですので、詳細を把握しやすい層を増税することにより、国側の取りっぱぐれを防ぐのが大きな狙いなのでしょう。
すなわち、今回の増税理由はサラリーマンや公務員をターゲットにするための第一手であって、当然二手目や三手目もあり得るという話。
そーなりますと、「今後は850万円以下の層からどうやって税金を取ろうか?」と国も知恵を絞ってくるワケです。
なんせ、前述の通り850万円超だと全体のたった4%しか相手にできません。
当然のことながら、4%以上の相手から取りたくなるのが自明の理。
てなこともあって、「850万円超の年収がないから別に構わない」ではなく、「今回の増税により給与所得者層のターゲット化が進む」と考えたほうが良いのでは。
まもなく、自分には無関係なんて言えない日がやってくるかもしれませんよ。
年収850万円超、増税なら手取りは?
年収850万円以下なら相殺してプラマイゼロ、850万円超なら給与所得控除の上限が効いて結果的に増税・・・ってトコまではお分かり頂けたかと思います。
じゃあ、年収850万円超層の手取り金額ってどうなるの?って話ですよねえ。
手取りというのは、収入(額面金額)から各種控除(年金や保険料など)を引き、更に所得税や住民税を引いた金額のこと。
本来であれば、額面金額の約75~85%が手取りになるハズです。
が、年収850万円を少し超えるラインという立場なら、この増税で月あたりの手取りは1200円程度の減額かと。
この金額が小さいか大きいかはご本人の判断におまかせしますが、チリも積もれば・・・と考える方もいるでしょうね。
増税はいつから?
さて、その増税はいつから始まるのか?
生活を直撃する件ですので、タイミングが気になるところ。
14日決定した2018年度税制改正大綱によれば、所得税の適用は2020年1月からになります。
年収850万円を超えるサラリーマンと公務員の方は、あと1年ちょいで増税。
所得税以外にも、タバコ増税が2018年10月、消費税10%引き上げが2019年10月、ワイン・第三のビール増税が2020年10月などなど、ここ1~2年で環境は厳しくなるばかり。
デブレ脱却していないうちに次々と増税されちゃっておりますので、日本の沈滞はまだしばらく続くのでしょうねえ・・・
年収850万円超で増税の場合、所得税はいくら?
では、今回の増税で年間の所得税額はいくらになるのか?
財務省がその増額試算を出しているので、ご紹介しておきましょう。
年収 | 年間増税額 | |
850万円 | ゼロ | |
900万円 | 1万5000円 | |
950万円 | 3万円 | |
1000万円 | 4万5000円 | |
1500万円 | 6万5000円 | |
2000万円 | 6万5000円 | |
3000万円 | 31万円 | |
5000万円 | 34万2000円 |
見れば見るほど、バランスが不自然(汗)。
特に1500万超~2000万円は同額という驚き。
その上、2000万円と3000万円では25万円も違います。
まるで、政府が「年収1500~2000万円目指してがんばりんしゃい!」と言っているようにも感じます。
麻生太郎財務相によると、税収増は1000億円を切りたいとの意向で、恐らく900億円程度になる見通し。
とはいえ、財務省がこれで満足するとは思えず、会社員と公務員の苦難は続くと思われます。
まとめ
サラリーマンを増税しておいて、フリーランスを減税するという謎の措置。
この税制改正であえて基礎控除を減額したのは、サラリーマンの副業支援が裏テーマだとの見解もある様子。
そーなると、もしかして来年から再来年にかけて副業ブームが訪れるかもしれませんね。
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